誕生日やクリスマスなど、お祝いの席には欠かせないケーキやデザート。でも、生クリームやホイップクリームを目の前にすると、「子どもに食べさせて大丈夫?」「太りやすい?身体に悪影響はない?」と、ふと不安がよぎるママも多いのではないでしょうか。
生クリームやホイップクリームの正体を知っておけば、その漠然とした不安はぐっと軽くなります。この記事では、この二つの決定的な違いと、子どもに与える際の安全なタイミングと選び方を、栄養の視点からわかりやすく解説します。
知っておきたい「生クリーム」と「ホイップ」の違い
スーパーやケーキ屋さんで見かけるクリーム類には、乳脂肪を主原料とするものだけでなく、植物性脂肪を使ったものや、乳脂肪と植物性脂肪を組み合わせたものがあります。見た目は似ていても、原材料や食品表示上の分類は異なります。
生クリームは「乳脂肪」を使ったクリーム
食品表示上の「クリーム」は、生乳などから乳脂肪分以外の成分を除いたものです。乳等省令では、クリームの成分規格として乳脂肪分18.0%以上などが定められています。
商品によって乳脂肪分は異なり、40%前後から45%以上のものまであります。乳脂肪分だけでなく、原材料名や種類別表示を確認すると、どのようなクリームなのか判断しやすくなります。
ホイップクリームには植物性脂肪を使ったものもある
「ホイップクリーム」という呼び方だけでは、使われている脂肪の種類までは判断できません。植物性脂肪を使ったもの、乳脂肪と植物性脂肪を組み合わせたもの、乳脂肪を使ったホイップ製品などがあります。
そのため、「ホイップ=植物性」「生クリーム=添加物なし」と名称だけで判断するのではなく、パッケージの「種類別・名称」や原材料名を確認することが大切です。
トランス脂肪酸は「植物性かどうか」だけで判断しない
トランス脂肪酸は、部分水素添加油脂の製造などで生じるほか、乳製品や肉などにも天然由来のものが少量含まれます。食品安全委員会は、日本人の大多数のトランス脂肪酸摂取量はWHOの目標値を下回っており、通常の食生活では健康への影響は小さいと評価しています。
そのため、「植物性クリームだからトランス脂肪酸が多く、子どもには危険」と一律に考えるのは適切ではありません。気になる場合は、商品ごとの原材料表示や栄養成分表示を確認して選ぶのが基本です。
子どもに生クリームを与えるときの考え方
生クリームについて「1歳半から」という一律の公的基準があるわけではありません。厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイドでは、離乳の完了は通常12~15か月頃、遅くとも18か月頃までが目安とされていますが、これは生クリームの開始年齢を定めたものではありません。
そのため、生クリームを使ったケーキなどをお子さんに与える場合は、年齢だけで決めるのではなく、離乳の進み具合や食べ慣れた食品、アレルギーの有無、食べる量などを考えて判断するのが適切です。
判断基準1:年齢だけでなく、離乳の進み具合を見る
厚生労働省のガイドでは、離乳は子どもの発達に応じて進め、食べ物はその段階に合わせて食べやすく調理することが示されています。
生クリームを使ったケーキを初めて食べさせる場合も、「○歳になったから必ず大丈夫」と考えるのではなく、普段の食事がどの程度進んでいるか、乳製品を食べた経験があるかなどを確認しておきましょう。
判断基準2:選ぶときは「種類別・原材料名」を確認する
シンプルな原材料のクリームを選びたい場合は、パッケージの表示を確認しましょう。「種類別:クリーム」と表示されている商品は、乳等省令上の「クリーム」に該当します。
ただし、「種類別:クリーム」だから必ず子どもにとって安全という意味ではありません。乳成分を含むため、乳アレルギーがある場合は特に表示確認が必要です。
乳脂肪45%の濃厚さを重視して選びたいときに候補にしやすいクリーム
乳脂肪分45%で、原材料はクリームと牛乳。200mlなので、ご家庭でケーキやデザートを作る際に使う量を選びやすいサイズです。乳脂肪分や原材料を確認して、植物性脂肪を使っていないクリームを選びたいご家庭に向いています。
原材料と容量をシンプルに確認して選びたい家庭に向く200mlタイプ
種類別は「クリーム」、乳脂肪分40%で、原材料は北海道産生乳100%。200ml入りで、料理にもお菓子作りにも使える設計です。キャップ付きの容器を採用しているため、商品選びで原材料だけでなく容器の扱いやすさも確認したい場合に候補になります。
容量を重視して、ケーキ作りなどでたっぷり使いたい場合に選びやすい1Lタイプ
乳脂肪分42%、内容量1,000mlで、原材料は生乳。200mlの商品より容量が大きいため、複数のケーキやデザートをまとめて作るなど、一度に多く使う予定がある場合に候補になります。要冷蔵の商品なので、購入後の保存条件も確認しておきましょう。
判断基準3:クリームだけでなく、ケーキ全体の砂糖量も見る
ケーキやデザートをお子さんに与える場合は、生クリームだけを切り離して考えるより、砂糖を含めた食品全体を見ることが大切です。
WHOは、食品や飲料に含まれる遊離糖について、摂取量を抑えることがむし歯のリスク低減につながるとしています。
そのため、手作りする場合は砂糖を減らせるレシピを選ぶなど、クリームの種類だけでなく、ケーキ全体の甘さも調整するとよいでしょう。
なお、砂糖の種類を変えれば「健康的な砂糖」になると考えるのは適切ではありません。てんさい糖も砂糖であるため、種類だけでなく使う量を見ることが重要です。
砂糖の種類にもこだわりながら、原料産地を確認して選びたい場合の候補
北海道産てん菜を原料とする650gの商品です。砂糖の種類を変えること自体が糖分の摂取量を減らすことにはならないため、使う量を抑えることを前提に、原料や産地も確認して選びたい場合に向いています。
ケーキやデザートに使える「代替品」
生クリームを使う量を減らしたい場合は、別の食品をクリームのように使う方法もあります。ただし、代替品だから必ず低カロリー・低糖質・安全というわけではありません。使う食品の原材料やアレルギーにも注意しましょう。
- 水切りヨーグルト:ヨーグルトの水分を減らすことで、通常のヨーグルトより固めの食感にできます。パンやケーキに塗るなど、生クリームとは異なる使い方でデザートを作りたい場合に候補になります。
- 豆腐クリーム:絹豆腐を使ってクリーム状に仕上げる方法があります。乳製品を使わないクリーム風の材料を探している場合の選択肢になりますが、大豆アレルギーがある場合は原材料の確認が必要です。
- ココナッツミルク:商品によって原材料や脂肪分、添加物が異なるため、表示を確認して選びましょう。ココナッツを原材料とする商品もあり、乳製品とは異なる風味を生かしたデザート作りに使えます。
乳製品とは違う材料でデザートを作りたいときに候補になるココナッツミルク
140mlのココナッツミルクで、販売情報では原材料はココナッツとされています。生クリームとは風味も原材料も異なるため、同じものの代用品としてではなく、ココナッツの風味を生かしたデザートを作りたい場合の選択肢として考えると使い分けやすくなります。
まとめ
生クリームとホイップクリームは、見た目が似ていても原材料や表示上の分類が異なります。生クリームを選ぶ場合は「種類別:クリーム」などの表示を確認し、乳脂肪分や原材料を見ながらご家庭の条件に合うものを選ぶと判断しやすくなります。
お子さんに与える場合も「○歳なら必ず大丈夫」と年齢だけで決めるのではなく、離乳の進み具合や乳製品を食べた経験、アレルギーの有無などを確認することが大切です。ケーキ全体ではクリームだけでなく砂糖の量にも目を向け、必要に応じて水切りヨーグルトや豆腐、ココナッツミルクなども選択肢にすると、ご家庭の条件に合わせてデザートを無理なく作りやすくなります。お祝いのひとときが、親子にとって安心できる時間になりますように。
【参考情報】
- 厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
- 食品安全委員会「食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価について」
- 食品安全委員会「トランス脂肪酸」関連資料
- 各種商品ページ