「離乳食を始める前にアレルギー検査をしておいた方が安心ではないか?」という不安を抱えるお母さんは多くいます。特に、家族にアレルギー体質の人がいる場合、その心配は強くなるものです。
しかし、離乳食開始前の全ての子どもに対する特に理由のない一律の検査は、厚生労働省の指針を含め、多くの専門家によって推奨されていません。これは、検査がアレルギーを診断するための万能な手段ではないという科学的な理由に基づいています。
この記事では、アレルギー検査の科学的な限界を解説し、検査に頼るのではなく、保護者が実践すべき安全な離乳食の進め方3原則について詳しく説明します。
離乳食前の「アレルギー検査」が推奨されない理由
なぜ「念のため」の検査が推奨されないのか。その理由は、検査結果が必ずしも実際の食物アレルギーと一致しないという点にあります。
理由1:血液検査(IgE抗体)の科学的な限界
一般的に行われる血液検査(IgE抗体検査)は、体が特定の物質に対して「反応する準備がある状態(感作)」かどうかを示すものです。これはアレルギーの有無を断定するものではありません。
- 検査で陽性が出ても、実際にはその食物を食べられるケースがあります(偽陽性)。
- 逆に、検査で陰性であっても、実際に食べてアレルギー症状が出るケースもあります(偽陰性)。
検査結果だけで食物を除去してしまうと、不必要な食事制限につながりかねません。
理由2:無駄な除去による栄養リスクと予防機会の損失
検査結果だけで特定の食品を避けてしまうと、子どもの成長に必要なタンパク質やミネラルといった栄養素が偏るリスクがあります。
さらに、近年の研究では、乳児期に特定の食物を適切な量で摂取することが、アレルギーの発症を予防する可能性があるという見解も出ています(厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」参考)。不必要な除去は、この予防の機会を失うことにもなりかねません。
医師が「検査を検討する」のはどんな時か?
アレルギー検査は、医師が病状を診断する上での補助情報として行われるものです。不安だからという理由ではなく、症状がある場合に検討されます。
推奨されるケース1:強い乳児湿疹や皮膚炎が続く場合
離乳食開始前後の食物とは無関係に、強い湿疹やアトピー性皮膚炎が長く続く場合、医師が皮膚の状態と血液検査の結果を総合してアレルギーの関与を調べる場合があります。
推奨されるケース2:食物を食べて明確な症状が出た後
実際に離乳食中にじんましんや嘔吐などの明確なアレルギー症状が出た後、原因となる食物を特定する目的で検査が行われます。この場合も、検査結果は必ず医師の診断と合わせて判断されます。
検査よりも重要な「正しい進め方」3原則
アレルギーへの不安を管理するために最も有効なのは、検査だけではなく、安全な離乳食の進め方を徹底することです。これは、全ての母親や保護者が実践すべき原則です。
原則1:新しい食材は「少量から」試す
新しい食材は必ず1日1種類にし、スプーンひとさじなどの少量から始めます。これにより、万が一症状が出た場合でも、原因を特定しやすく、症状を最小限に抑えられます。
原則2:体調と皮膚の観察を徹底する
離乳食を与えた後の子どもの皮膚の状態(赤み、湿疹、かゆみ)や全身の体調を、普段よりも注意深く観察してください。この観察記録こそが、検査結果よりも重要な初期診断のための情報となります。
原則3:自己判断せず「専門家」に相談する
少しでも不安を感じたり、判断に迷う症状が出たりした場合、決して自己判断で特定の食品の除去や追加を行わないでください。かかりつけの小児科医師や地域の保健センター(管理栄養士が在籍)といった専門家に相談し、指導を受けることが最も安全な方法です。
まとめ
離乳食開始前のルーティンなアレルギー検査は、不確実な結果からくる不必要な食事制限のリスクもあるため、一般的には推奨されません。重要なのは、正確な知識に基づいて正しい離乳食の進め方を実践し、子どもの状態を丁寧に観察することです。
アレルギーに関する懸念や個別の対応については、必ず小児科医師または地域の保健師・管理栄養士に相談し、専門的な指導を受けてください。知識と冷静な判断を持つことが、母親としての最善の選択です。
本記事は、厚生労働省の指針を含む一般的な情報提供を目的としています。個別の診断、治療、または食事指導については、医師や管理栄養士などの専門家の判断が不可欠です。本記事の内容は、医師の診断や指導に代わるものではありません。




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