妊娠中、味噌汁や煮物にいつも使っている昆布だしについて、「おなかの赤ちゃんに影響はない?」「ヨウ素を摂りすぎるとよくないの?」と気になったことはありませんか。
昆布にはヨウ素という栄養素が多く含まれています。ヨウ素は体に必要な成分ですが、妊娠中は摂りすぎにも注意が必要です。
この記事では、妊娠中に昆布だしを使うときの考え方、ヨウ素の摂取基準、水出しと煮出しの違い、市販のだしを選ぶ際の注意点を、公的資料をもとに解説します。
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妊娠中に昆布だしを一律に禁止する必要はありません。ただし、昆布にはヨウ素が非常に多く含まれるため、昆布だしを習慣的に多量摂取することは避けましょう。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、妊婦のヨウ素推奨量は1日250µg、耐容上限量は1日2,000µgです。
昆布だしに含まれるヨウ素量は、昆布の量やだしの取り方によって変わります。そのため、「1日何杯までなら安全」と一律に決めることはできません。
普段の食事で昆布だしを使ったからといって、すぐに問題が起きると考える必要はありませんが、毎日大量に飲む習慣や、昆布を多く使った料理が重なる食生活には注意が必要です。
妊娠中に昆布だしを飲んでも大丈夫?
日本産婦人科医会は、妊娠中の魚や海藻について、過剰摂取だけを心配するのではなく、さまざまな食品をバランスよく食べることが大切だと説明しています。
昆布などを毎日たくさん食べる場合は、摂取量を見直すことが勧められています。
つまり、妊娠中だからといって、昆布を使った料理をすべて避ける必要があるわけではありません。
ただし、昆布だしに含まれるヨウ素は調理条件によって大きく変わります。普段から濃い昆布だしを頻繁に使う場合や、昆布をそのまま食べる機会が多い場合は、摂取状況を確認しましょう。
昆布に含まれるヨウ素とは?妊娠中に注意が必要な理由
ヨウ素は、甲状腺ホルモンを作るために必要な栄養素です。
甲状腺ホルモンは体の代謝などに関係し、妊娠中には赤ちゃんの成長や発達にとっても重要な役割を持ちます。
ヨウ素は不足しても問題になりますが、過剰摂取によって甲状腺の働きに影響が出る場合もあります。
特に妊娠中は、母体だけでなく胎児の甲状腺機能にも関係するため、摂取量が多くなりすぎないよう注意が必要です。
ヨウ素は昆布以外の食品にも含まれる
ヨウ素は昆布などの海藻類のほか、魚介類や一部の加工食品などにも含まれます。
昆布を使っただしや、昆布エキスを含む調味料も摂取源になります。
そのため、昆布そのものを食べていなくても、料理に使っているだしや調味料からヨウ素を摂取している場合があります。
妊婦のヨウ素摂取量|推奨量と耐容上限量の違い
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人女性と妊婦について、次の基準が示されています。
| 対象 | 推奨量 | 耐容上限量 |
|---|---|---|
| 18〜49歳の女性 | 140µg/日 | 3,000µg/日 |
| 妊婦 | 250µg/日 | 2,000µg/日 |
妊婦の推奨量250µgは、18〜49歳の成人女性の推奨量140µgに、妊娠中の付加量110µgを加えた値です。
推奨量は、健康な人の多くが必要量を満たすための目安です。一方、耐容上限量は、習慣的な過剰摂取による健康障害を避けるための基準です。
耐容上限量を1日だけ超えたからといって、必ず健康被害が起こるという意味ではありません。
ただし、日常的に多量のヨウ素を摂取する習慣がある場合は注意が必要です。
昆布だしのヨウ素量はどれくらい?水出し・煮出しを比較
昆布だしは、水で抽出する場合と加熱して抽出する場合で、ヨウ素含有量が異なります。
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」には、次の値が収載されています。
| だしの種類 | ヨウ素量(100g当たり) |
|---|---|
| 昆布だし(水出し) | 5,300µg |
| 昆布だし(煮出し) | 11,000µg |
| かつお・昆布だし(荒節・昆布だし) | 1,500µg |
この表は、成分表で定められた材料と調理条件に基づく値です。家庭で作るすべてのだしが同じヨウ素量になるわけではありません。
使用する昆布の種類や量、水の量、抽出時間、調理方法などによって、実際の含有量は変わります。
そのため、この数値だけを使って家庭の味噌汁1杯に含まれるヨウ素量を一律に決めることはできません。
昆布を取り出せばヨウ素は減る?
昆布をだしから取り出しても、すでに水へ溶け出したヨウ素がなくなるわけではありません。
2016年に発表された関西大学の研究では、特定の条件で昆布からだしを取った際、昆布に含まれるヨウ素の約80%がだしへ移行したと報告されています。
この割合がすべての調理方法に当てはまるわけではありませんが、昆布を取り出しただけでヨウ素を含まないだしになるとは考えないようにしましょう。
妊娠中に昆布だしを使うときの注意点
昆布だしを毎日大量に飲む習慣は避ける
昆布だしを使った味噌汁やスープを頻繁に飲む場合は、使っている昆布の量や、ほかの海藻類を食べる頻度も確認しましょう。
昆布だしにはヨウ素が多く含まれる場合があるため、濃い昆布だしを習慣的に大量摂取することは避けるのが適切です。
ただし、妊婦が昆布だしを飲んでよい量について、公的な一律の「1日何杯まで」という基準は確認できません。
昆布・昆布エキス入りの食品が重ならないか確認する
昆布だし以外にも、昆布の佃煮、塩昆布、昆布を使った煮物、昆布エキス入りの調味料などからヨウ素を摂取することがあります。
個々の食品だけでなく、日常的に食べている食品の組み合わせを確認することが大切です。
だしの種類を使い分ける
昆布だしを日常的に多く使っている場合は、昆布を使わないかつおだしや、干ししいたけなどのだしを料理に取り入れる方法もあります。
ただし、これらの食品にもヨウ素が全く含まれないとは限りません。昆布の使用量を調整するための選択肢として考えましょう。
ヨウ素入りサプリメントを自己判断で追加しない
ヨウ素は妊娠中にも必要ですが、不足を心配して自己判断でサプリメントを追加すると、食品からの摂取と合わせて過剰になる可能性があります。
妊娠中にサプリメントを使用する場合は、成分表示を確認し、必要に応じて医師や管理栄養士に相談してください。
市販のだしパック・顆粒だしにもヨウ素は含まれる?
市販のだしパックや顆粒だしには、かつお節、昆布、煮干し、しいたけなど、さまざまな原材料が使用されています。
昆布や昆布エキスが入っている商品では、ヨウ素を摂取する可能性があります。
原材料名で確認したい表示
商品を選ぶ際は、「昆布」「昆布粉末」「昆布エキス」などの原材料が含まれているかを確認しましょう。
ただし、原材料名だけではヨウ素の正確な含有量を判断できません。
無添加や食塩不使用ならヨウ素も少ない?
無添加や食塩不使用という表示は、ヨウ素が少ないことを意味しません。
昆布そのものには自然にヨウ素が含まれているため、食品添加物や食塩を加えていない商品でも、ヨウ素を含む場合があります。
特に妊娠中は、無添加という表示だけで判断せず、昆布由来の原材料を使っているかどうかも確認しましょう。
ヨウ素量が表示されていない場合
一般的な栄養成分表示では、すべての商品にヨウ素含有量の表示が義務付けられているわけではありません。
ヨウ素量が分からない場合は、数値を推測せず、メーカーが公表している情報を確認してください。
甲状腺に関する病気がある方や、医師からヨウ素摂取について指示を受けている方は、使用する商品について医療機関に相談しましょう。
甲状腺疾患がある方、甲状腺に関係する薬を使用している方、医師からヨウ素摂取について指示を受けている方は、一般的な食事の目安だけで判断しないでください。
また、妊娠中に昆布だしや海藻類を長期間多量摂取していた場合、気になる症状がある場合は、妊婦健診などで医師に相談しましょう。
食事摂取基準の耐容上限量は、個人の安全性を保証する量ではありません。自己判断で極端に制限したり、反対に積極的に大量摂取したりすることは避けてください。
妊娠中の昆布だしについてよくある質問
Q. 妊娠初期に昆布だしを飲んでも大丈夫ですか?
妊娠初期だから昆布だしを一律に禁止するという国内の基準は確認できません。ただし、ヨウ素の習慣的な過剰摂取には妊娠期間を通して注意が必要です。使用量や頻度、ほかの食品からの摂取状況を確認しましょう。
Q. 昆布だしは毎日飲んでもいいですか?
昆布の使用量や調理条件によってヨウ素量が大きく異なるため、毎日飲んでも安全な量を一律に示すことはできません。濃い昆布だしを習慣的に多量摂取することは避け、心配な場合は医師や管理栄養士に相談してください。
Q. 昆布だしを1回飲んでしまいました。赤ちゃんに影響しますか?
昆布だしを1回飲んだという事実だけで、胎児への影響を判断することはできません。耐容上限量は習慣的な摂取量に関する基準であり、1回超えれば必ず健康被害が起こるという意味ではありません。大量に摂取した場合や不安がある場合は、飲んだ量や使用した材料を伝えて医師に相談してください。
Q. 水出しの昆布だしならヨウ素は少ないですか?
文部科学省の成分表では、対象となった水出しの昆布だしは、煮出しよりヨウ素含有量が低くなっています。ただし、水出しでもヨウ素は含まれます。水出しなら妊娠中に大量に飲んでも安全という意味ではありません。
Q. 昆布を取り出せばヨウ素はなくなりますか?
いいえ。ヨウ素はだしを取る過程で水に移行するため、昆布を取り出しても、すでに溶け出したヨウ素がなくなるわけではありません。
Q. 妊娠中はかつおだしに変えた方がいいですか?
昆布の使用量が多い場合は、昆布を使わないかつおだしなどを取り入れる方法があります。ただし、かつおだしにヨウ素が全く含まれないとは限りません。市販品については、昆布や昆布エキスが配合されていないかも確認しましょう。
まとめ|妊娠中の昆布だしはヨウ素の摂りすぎに注意
妊娠中に昆布だしを一律に禁止する必要はありませんが、昆布にはヨウ素が多く含まれるため、習慣的な過剰摂取を避けることが大切です。
厚生労働省の2025年版食事摂取基準では、妊婦のヨウ素推奨量は1日250µg、耐容上限量は1日2,000µgとされています。
昆布だしのヨウ素量は調理方法によって異なるため、「何杯までなら安全」と一律には判断できません。
普段の昆布だしの使い方を確認し、海藻類や昆布エキス入りの食品、サプリメントなどを重ねて摂りすぎないようにしましょう。
妊娠中は特定の食品を極端に避けるのではなく、さまざまな食品を組み合わせ、必要に応じて医師や管理栄養士に相談しながら食生活を整えることが大切です。